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「ボンボローニとベニエとマラサダの違い」をカンタンに解説

 最近人気のクリームドーナツには、一貫した名称がありません。お店によってボンボローニ、ベニエ、マラサダなどいろいろなネーミングで販売されています。ボンボローニとベニエとマラサダとは何が違うの? そもそもドーナツとの違いは?──という疑問にぶち当たっている人も少なくないかもしれません。そこで、ボンボローニ、ベニエ、マラサダ、それからドーナツの違いについて解説したいと思います。

 

●このブログで解説する内容

 

新富町のイタリア郷土菓子店「リートゥス」のボンボローニ
新富町のイタリア郷土菓子店「リートゥス」のボンボローニ

「ボンボローニ」はイタリアのドーナツ。クリーム入りがマストではない


原則として「ボンボローニ」もしくは「ボンボローニャ」という名称の商品を販売しているお店は、イタリア系のベーカリーやカフェ、洋菓子店の率が高いといえます。なぜなら、ボンボローニはイタリアのお菓子だからです。生地を揚げるという製法はドーナツとイコールなので、“イタリアのドーナツ”といってもいい存在です。ただし、「当店の商品はボンボローニでありドーナツではありません」と掲げているお店もあります。日本ではクリームが入っているものが人気ですが、それがボンボローニの必須条件ではなく、ジャムが入ったタイプもあります。


フランスの老舗パン屋さん「PAUL」のベニエ
フランスの老舗パン屋さん「PAUL」のベニエ

「ベニエ」はフランス生まれで、もともとはジャム入りが主流

 フランスでは、生地を揚げたペイストリーを「ベニエ」と呼びます。したがって、日本で「ベニエ」を提供しているのは、フランス系のお店が多いのです。ベニエには、イースト生地である場合と、シュー生地を揚げた場合とがありますが、生地を揚げるという製法はドーナツと違いがありません。ただし、なかにジャムやシロップを入れたものが主流である点が特徴です。くわえて、日本では最近、クリームを詰めたベニエが人気を呼んでいます。

 一方、フランス以外にもベニエと呼ばれるペイストリーを食べる文化があります。たとえば、アメリカのルイジアナ州周辺で形成されたクレオール料理(様々な食文化が融合した料理スタイル)においては、四角い形状で粉砂糖をかけた揚げ菓子がベニエとして定着しています。日本でもこのタイプのベニエを提供するお店もあります。


横浜「レナーズ」のマラサダ
ハワイ発「レナーズ」のマラサダ

ハワイのドーナツが「マラサダ」。だけど出身はポルトガル


 日本でマラサダを提供しているのはほぼ、ハワイ系のお店です。なぜなら、マラサダはいうなればハワイのドーナツだからです。ただし、そのルーツはポルトガルのマデイラ諸島とアゾレス諸島にあり、それがハワイに持ち込まれたものだとされています。もっともポルトガル全域でみると、マラサダは特にメジャーな存在ではなく、逆にハワイで広がったため、今では「マラサダといえばハワイのドーナツ」という公式が成立しているのです。日本のマラサダ店は揚げたてフワフワのものをその場で提供するお店と、常温に戻して中にクリームを注入して販売するお店とがあります。また、ハワイアンレストランのようなところでは、揚げたてマラサダをお皿に盛り、ホイップクリームやアイスクリームを添えるスタイルが見られます。


ボンボローニ、ベニエ、マラサダと、ドーナツの違いは?

 ボンボローニ、ベニエ、マラサダの違い……最も大きいのは、生まれた国や地域の違いです。イタリア、フランス、ポルトガルとそれぞれルーツが異なるからです。一方で、すべてに共通しているのは、生地を油で揚げるというドーナツと同じ製法です。その点から、ドーナツFCではボンボローニ、ベニエ、マラサダもドーナツの種類の一つとして考えています。それにしても、世界各地で同じようなお菓子が生まれていたというのは興味深い現象だといえます。

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